
みなさんこんにちは。
本日は「利益のリアルタイム把握」をテーマにお話しします。
さっそくですが、経営者の皆さまに質問です。
「昨日の取引で、正確にいくら利益が出たか?」
この問いに、今すぐはっきり答えられるでしょうか。
売上の金額は、なんとなく把握できていても、
「利益がいくらか」となると、月次決算が締まる翌月にならないと分からない…。
実は、こういった企業様は少なくありません。特に、次のようなビジネス構造をお持ちの場合は、その傾向が強くなります。
- 販売価格が市場状況によって変動する
- 商品カテゴリーや取引先ごとに、細かく仕入条件・リベート率が異なる
- 物流コストが、配送先や重量・サイズごとに毎回変動する
こうした「変動要素」が多いほど、利益計算は複雑になり、
「忙しく働いているのに、今月本当に儲かっているのかは月末まで分からない」
というブラックボックス状態になりがちです。

本記事では、こうした複雑な条件を抱えながらも、
手作業を一切なくし、日次決算レベルで収支を見える化した自動化の仕組みについて、なるべく分かりやすくお話しします。
なぜ「どんぶり勘定」や決算の遅延が起きてしまうのか
一般的な企業間取引(BtoB)で、利益計算が遅れてしまう最大の原因は、次の2つです。
- 確定データが出そろうまでのタイムラグ
- 計算ルールそのものが複雑
もう少し具体的にイメージしていただくために、ある卸売業者のケースを例にしてみます。
卸売業者のよくある悩み
- 売上確定の遅れ
販売チャネルや取引先からの「実売データ」の通知が遅れるため、
自社側で売上が確定しない状態が続く。 - 仕入・支払の遅延
売上が確定しないため、サプライヤー(仕入先)への支払単価も決まらず、
明細の発行も遅れてしまう。 - 手計算の限界
暫定的な数字で「とりあえず利益」を計算しようとしても、
条件が複雑すぎて、Excelで手作業ではとても追いつかない。
その結果、現場は忙しく動いているにもかかわらず、
「実際に儲かっているのかどうかは、2か月後にならないと分からない」
という状況が生まれてしまいます。
解決の方向性:複雑な計算ロジックをすべて自動化する

こうした状況に対して、私たちが提案しているのは、
「複雑な計算ロジックをまるごと自動化する」というアプローチです。
具体的には、Google Apps Script(GAS)という、
Googleスプレッドシートなどを自動操作できる仕組みを使って、
人の頭の中にしかなかった暗黙のルールをすべてシステムに落とし込んでいきます。
ここで大事なのは、「ベテラン担当者の感覚や経験則」も含めてルールとして定義するということです。
今回は、特に次の3つのポイントを自動計算させる仕組みを作りました。
自動化した3つのポイント
1. カテゴリー別・契約別の変動マージンを自動計算
取引には、必ずといって良いほど「基本ルール」と「例外ルール」が存在します。
- 商品A(主力商品):手数料率 11.5%
- 商品B(準主力商品):手数料率 10%
- 特定のパートナー企業:全商品一律 10% の特別レート
こうした条件が商品ごと、取引先ごとにバラバラに存在すると、
人間が毎回チェックしてExcelに手入力するのは、ほぼ不可能です。
そこで、「商品コード」や「取引先コード」をキーにして、
システムが自動で適切な手数料率・マージンを適用する仕組みを作りました。
担当者は、データを眺めて「この取引は何%だったかな?」と悩む必要はありません。
条件の判定から計算まで、すべて自動で処理されます。
2. 変動する物流コストの自動配賦
運送費・送料は、固定金額ではないケースが多くなっています。
- 商品サイズ・重量
- 配送エリア(地域)
- 配送に使う販売チャネル・運送会社
こうした条件が変わるたびに、送料も変動します。
ここでは、運送会社からの請求データ(CSVやExcel)をもとに、
「この商品を、このエリアに、この便で送ったら運賃はいくらか」
という情報を、1取引ごとに自動で割り当てる仕組みを作りました。
これにより、「物流費を含めた、本当の粗利」を、取引単位で把握できるようになります。
3. バラバラのデータを自動で結合し、即座に利益を算出
最後のポイントは、データの自動結合です。
販売チャネルから売上データが届いたタイミングで、
- 売上データ
- 変動マージンの計算結果
- 物流コストの配賦結果
これらが自動で結び付けられ、
「仕入先への支払額」と「自社の取り分(利益)」が即座に計算されるフローを構築しました。
人が間に入って、Excelを開いて、関数をコピーして…といった作業は一切ありません。
データが届いた瞬間に、バックグラウンドで自動処理が走ります。
結果:利益の可視化と経営判断のスピードが一気に向上

計算されたデータは、ただの数字の羅列では見づらいため、
Googleの「Looker Studio」という可視化ツールを使って、
グラフや表として直感的に見えるようにしました。
(Looker Studioは、Googleが提供している無料のダッシュボードツールで、
Googleスプレッドシートなどのデータを簡単にグラフ化できるサービスです。)
これにより、経営者の方は、毎朝次のような情報を確認できるようになります。
- 日次のP&L(損益計算)
昨日いくら儲かったのか、どれくらいコストがかかったのか。 - カテゴリー別の収支
どの商品カテゴリーが利益を牽引しているのか、
逆に、どのカテゴリーが足を引っ張っているのか。 - 取引先別・サプライヤー別の収支
どの仕入先の商品が、もっとも効率的に利益を生み出しているのか。
こうして、これまで「感覚」で語られてきた利益構造が、
事実として、数字として、リアルタイムで見えるようになりました。
導入後に起きた変化
- 赤字になりそうな取引を、月末や翌月ではなく、その時点で把握できる
- 採算が悪い取引条件を、早い段階で見直せる
- 事務スタッフが、複雑な手計算から解放され、
より生産的な業務(取引条件の見直し提案や分析など)に時間を使える
まとめ:複雑だからこそ、自動化が大きな武器になる
最後に、ポイントを3つに整理します。
- 複雑でも「リアルタイム収支」は十分に実現可能
変動費や物流費が入り組んでいても、ITツールを活用すれば、
日次決算レベルでの収支把握は現実的な選択肢になります。 - ルールを標準化することで、属人化を解消
手数料や運賃の計算こそ、自動化の効果が最大化される領域です。
ベテラン担当者の「頭の中のルール」を外に出して、標準化することが鍵です。 - 「月末にならないと分からない経営」からの卒業
月次の締めを待つ経営から、
「毎日、数字を見ながら改善する経営」へシフトすることができます。
「うちの業界は特殊だから…」
「うちは計算が複雑すぎて、とても自動化なんて無理…」
そう感じている企業様こそ、実は大きな伸びしろをお持ちです。
複雑さの裏側には、自動化による利益改善のチャンスが眠っています。
まずは「話をしてみる」だけでも大丈夫です
ここまで読んでくださった方の中には、
- 「興味はあるけれど、何から手をつければいいか分からない」
- 「うちの数字の計算ルールを人に説明できる自信がない」
- 「社内が散らかりすぎていて、見せるのが恥ずかしい」
と感じている方も多いと思います。
ご安心ください。ご相談の段階で、内容がまとまっている必要はまったくありません。
今のやり方やお悩みを雑談ベースでお聞きしながら、
「どこから手をつけると効果が出やすいか」を一緒に整理していきます。
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