
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を、ここ数年でよく耳にするようになりました。
「何かすごいシステムを入れれば、会社が一気に良くなるんじゃないか」
そんな期待を抱いている経営者・管理職の方も多いのではないでしょうか。
しかし現実には、立派なシステムを作ったのに、ほとんど使われずに終わってしまうケースが少なくありません。
なぜそんなことが起こるのか。その原因は「現場を見ずに、システムを作ること自体がゴールになってしまっている」ことにあります。
この記事では、お金をかけず、現場も混乱させず、繁忙期の残業を減らすために、段階的にシステムを導入して育てていく方法についてお話しします。
対象は、PCやITが得意ではない、40代以上の経営者・管理職の方です。専門用語はできるだけかみ砕いてお伝えしますので、気楽に読み進めてみてください。
1.DXは「魔法の杖」ではありません
まず最初にお伝えしたいのは、DXは魔法の杖ではないということです。
高価なクラウドシステムや最新ツールを導入すれば、
すぐに残業が減り、ミスも減り、利益も増える。
そんな「一発逆転」は基本的には起こりません。
ITプロジェクトが失敗しがちな会社の特徴は、
- 現場の仕事の流れをきちんと見ないまま
- 立派なシステムを「一気に」作ってしまい
- 「リリースしたところ」で満足してしまう
というパターンです。
本当に大事なのは「作ること」ではなく、現場で無理なく使い続けてもらい、成果が出るところまで育てることです。
2.現場の現実:なぜ繁忙期の残業はなくならないのか

ここで、一度みなさんの会社の繁忙期を思い浮かべてみてください。
電話は鳴りっぱなし、注文もひっきりなし。
現場の社員は、何を最優先に動くでしょうか。
当然、
- 商品をつくる
- サービスを提供する
- クレームや問い合わせに対応する
といった「目の前の仕事」を優先します。
そうなるとどうなるか。
パソコンへの入力作業は、後回しになります。
「そんな時間があるなら、手を動かせ」
現場ではこうなるのが自然です。
その結果どうなるか。
- 伝票やメモが夕方以降にまとめて山積みになる
- 疲れ切った状態で入力作業を始める
- 残業が当たり前になり、ミスも増える
これが、多くの中小企業で起きている悪循環です。
この状態のまま、いきなり高価で複雑なシステムを入れても、
現場は忙しすぎて使いこなせません。結果として、
- 「前のやり方の方が早い」と言われて元に戻る
- せっかく作ったシステムがほとんど使われない
ということになってしまいます。
3.解決策①:まずは「試作品」でテスト走行する

そこで私がいつもお伝えしているのが、「プロトタイプ(試作品)」から始めるという考え方です。
最初から100点満点のシステムを作る必要はありません。
むしろ、最初から完璧を狙うと、時間もお金もかかりすぎて、現場がついてこれません。
(1)道具は「安く・身近なもの」で十分
新しい高額なソフトを買う必要はありません。
たとえば、皆さんも普段お使いの
- Googleフォーム(アンケートや申込フォームを作る機能)
- Googleスプレッドシート(オンラインの表計算)
などを組み合わせれば、
- スマホから日報を送る
- 在庫数を入力して集計する
といった仕組みをほぼゼロコストで作ることができます。
(2)始める時期は「閑散期」を狙う
もうひとつ重要なのが始めるタイミングです。
繁忙期に新しいことを始めるのは、正直おすすめしません。
仕事が落ち着いている「閑散期」に絞って、テストを始める。
これだけでも、現場の心理的な負担は大きく変わります。
(3)いきなり全社ではなく、少数でテストする
最初から「全社一斉導入」は危険です。
まずは、
- 比較的ITに抵抗のない社員
- 協力的な仕入れ先・協力会社
など、少人数からテストを始めるのがおすすめです。
そして最初の仕組みは、「入力するだけ」のシンプルなものにします。
小さな成功体験を積み重ねることが、後々の本格導入のカギになります。
4.解決策②:現場と一緒に「半年かけて育てる」

システムは、「納品されたら終わり」ではありません。
むしろ、そこからがスタートです。
私はいつも、半年くらいかけて、現場と一緒に使いながら育てていくスタイルをおすすめしています。
実際に現場で使ってもらうと、必ず不満や要望が出てきます。
- 「このボタン、押しづらい」
- 「この項目は要らない」
- 「ここにメモ欄が欲しい」
こういった声をそのままにせず、すぐに小さく改良していくことが大切です。
この「改善のキャッチボール」を繰り返すことで、
- 現場の社員が「自分たちの意見で使いやすくなった」と感じる
- システムに愛着が生まれる
- 「現場とシステムの乖離」を防げる
ようになります。
現場とのギャップを防ぐ唯一の方法は、「現場と一緒にシステムを育てる」ことです。
5.絶対に避けて通れない「マスターデータ整備」
少し地味な話になりますが、システム導入で避けて通れないのが、マスターデータの整備です。
マスターデータとは、簡単に言うと「会社の中で共通で使う名前や番号のルール」です。
例えば、同じ取引先A社に対して、
- 「A社」
- 「(株)A社」
- 「株式会社A」
とバラバラに入力していたら、正確な集計はできません。
同じように、
- 商品コード
- 取引先コード
- 商品の等級や規格
といったものを整理し、会社としての「共通ルール」を決めてコードを振る必要があります。
ここは、どうしても経営者・管理職のリーダーシップが必要な部分です。
ルールが決まっていない状態でシステムだけ入れても、
最終的には「ゴミデータの山」ができるだけになってしまいます。
6.最終的に目指すのは「正確な収支のリアルタイム把握」
今日お話しした方法は、派手さはありません。
しかし、皆さんがすでに持っている
- 顧客データ
- 取引履歴
- Excelで管理している各種データ
などの「資産」を活かし、
GoogleフォームやGoogleスプレッドシートといったロ―コストな技術を組み合わせることで、 着実に業務を変えていくことができます。
その結果として、
- 繁忙期の残業が減る
- 入力ミスや集計ミスが減る
- 「どの商品が、どの取引先で、いくら利益を出しているのか」を、ほぼリアルタイムで見られるようになる
という状態を目指すことができます。
「小さく始めて、育てていくDX」。
次の閑散期から、ぜひ最初の一歩を踏み出してみませんか。
スガサポのサポート内容と対応エリア
私が運営している「スガサポ」では、
- まずは試作品(プロトタイプ)を一緒に作る
- 半年ほどかけて、現場の声を聞きながら少しずつ改良していく
という形で、現場に根づくシステムづくりをお手伝いしています。
「うちの会社、見せるのが恥ずかしい」「何もまとまっていないからお願いしにくい」
そんな方こそ、ぜひ一度お話を聞かせてください。
今のやり方・困っているポイントを一緒に洗い出し、無理のない第一歩をご提案します。
訪問対応エリア
◆ 茨城県
神栖市・鹿嶋市・潮来市・鉾田市・行方市・稲敷市 など周辺エリア
◆ 千葉県
香取市・東庄町・銚子市・成田市 など周辺エリア
上記以外の地域でも、内容によってはご相談可能です。
また、オンライン(ビデオ通話)であれば全国対応しています。
無料相談のご案内
現在、スガサポでは無料相談を受け付けています。
- 今のやり方が限界だと感じている
- DXに興味はあるが、何から手をつけていいか分からない
- 高額なシステムを入れる前に、「まずは試してみたい」
そんな方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
「とりあえず話を聞いてみたい」という段階でも大丈夫です。
お問い合わせフォーム、または公式LINEから、
「無料相談希望」とご連絡いただければ、日程調整のご案内をお送りします。
繁忙期の残業を減らし、現場が少しでも楽になる仕組みづくりを、
一緒に進めていきましょう。