「この作業は、あの人にしか分からない」。中小企業の現場では、月次集計や請求書の発行、シフト表づくり、Excelマクロの管理といった業務が、気づかないうちに特定の担当者ひとりへ集まっていることがあります。これが「属人化」です。
属人化を解消するというと、人を増やすことだと思われがちです。しかし、従業員が10〜50名ほどの中小企業にとって現実的なのは、人を増やすことよりも、業務そのものを切り出して、誰の手でも続けられる形に整えることです。この記事では、属人化が起こる仕組みと、解消するための3つの方法を、茨城・千葉を中心にExcel業務の代行を続けてきた現場の目線で整理します。

「属人化」とは — 中小企業で起きている3つの典型シーン
属人化とは、特定の人にしかできない業務がある状態のことです。その人が休んだり辞めたりすると、業務そのものが止まってしまう。中小企業では、次の3つのかたちでよく起こります。
シーン1:Excelマクロを作った人が辞めて、誰も中身を触れない
便利な自動計算の仕組みが社内にあっても、作った本人がいなくなると、エラーが出たときに直せる人がいません。「ボタンを押すと動く」ことは知っていても、なぜ動くのか、どこを直せばいいのかは誰も説明できない。マクロは一度動かなくなると、社内では手が出せなくなりがちです。
シーン2:月次集計の手順が、経理担当者の頭の中にしかない
毎月決まった作業のはずなのに、その担当者が不在になると、どのファイルをどの順番で開き、どのセルに何を入れるのかすら分からない。手順書がなく、本人の記憶と慣れだけで回っている状態です。引き継ぎをしようとしても、本人が「説明するより自分でやったほうが早い」と感じてしまい、なかなか前に進みません。
シーン3:シフト表の組み方が、管理者ひとりの経験に頼っている
希望休、宿直の回数、連勤の制限、職員ごとの事情。これらを頭の中で組み合わせられるのは、長年やってきた担当者だけ、というケースです。ルールが文書になっていないため、別の人が代わりに組もうとしても、何を優先すればいいのか判断できません。
どれも、毎月の業務が回っているうちは問題が見えません。あなたの会社にも、ひとつでも心当たりがあるなら、属人化はすでに始まっています。大切なのは、属人化の解消は人を増やすことではなく、業務を切り出して整理することから始まる、という点です。
属人化が放置されると、何が起きるか

属人化は、すぐに何かが壊れるわけではありません。だからこそ後回しになりがちですが、放置すると次の5つのリスクが少しずつ積み上がっていきます。
- 担当者が辞めた瞬間に、業務が止まる。引き継ぎ先がないまま退職されると、その月の集計や請求が誰にもできなくなります。
- 急な休みで、月次処理が遅れる。体調不良や家庭の事情で1日休むだけでも、締め日のある業務は後ろにずれ込みます。
- ミスが起きても、誰も検証できない。本人以外に中身が分かる人がいないため、数字が合っているかどうかをチェックできません。
- ベテランほど、辞めたときの影響が大きい。長く担当してきた人ほど多くの業務を抱えており、退職金以上の損失につながることもあります。
- 採用しても、育成に半年から1年かかる。新しい人を入れても、属人化した業務を一から覚えてもらうには長い時間が必要です。
とくに中小企業では、少人数で幅広い業務を分担しているため、ひとりの不在が会社全体に響きます。「その業務が1社で完結している会社」ほど、止まったときの代償は大きくなります。
属人化を解消する3つの方法 — 標準化・マニュアル化・社外への代行

属人化を解消する方法は、大きく3つあります。それぞれに向いている業務と、限界があります。
方法A:業務の標準化
帳票のフォーマットや入力のルールをそろえ、誰がやっても同じ手順で処理できる状態にする方法です。費用がほとんどかからず、社内で完結できるのが利点です。一方で、標準化そのものを進める人が必要で、その人が忙しいと進まないという限界があります。標準化を任された人に、また業務が集まってしまうこともあります。
方法B:マニュアル化
業務の手順を文書や画像にして、誰でも引き継げる状態をつくる方法です。うまくいけば、担当者が変わっても業務が続けられます。ただし、マニュアルをつくること自体に大きな手間がかかります。さらに、業務のやり方が変わるたびに更新が必要で、忙しい現場では更新が止まってしまいがちです。
方法C:社外への代行
毎月発生する業務を切り出し、社外の専門スタッフが継続して引き受ける方法です。社内に担当者がいなくても業務が回り、続けられる仕組みは委託先の側に持ってもらえます。月額の費用は発生しますが、採用や育成のコストと比べて検討する価値があります。委託先をどう選ぶかが大切になります。
具体的にどんな業務を社外に任せられるのか確認したい方は、対応する業務・対応しない業務もあわせてご覧ください。
3つの方法、どれが自社に合うか — 業務別の選び分け表
3つの方法は、どれかひとつだけを選ぶものではありません。業務の種類によって、向いている方法が変わります。下の表を、自社の業務を当てはめながら見てみてください。
| 業務タイプ | 標準化 | マニュアル化 | 社外への代行 |
|---|---|---|---|
| 単純な定型入力(データ転記など) | 向く | 向く | 必要に応じて |
| 月次集計・請求書発行・帳票作成 | 一部向く | 向く | 向く |
| Excelマクロ・VBAの運用 | 難しい | 一部向く | 向く |
| シフト表など複雑なルールのある業務 | 難しい | 一部向く | 向く |
| 経営判断・採用・戦略づくり | 難しい | 向かない | 向かない |
表を見ると、単純な入力作業は標準化やマニュアル化でも十分に対応できます。一方、Excelマクロの運用やシフト表づくりのように、専門的な知識や経験が必要な業務は、社内のリソースだけで属人化を解消するのが難しいことが分かります。
現実的な考え方は、「経営判断や採用、戦略づくりは社内で持ち続け、Excelが絡む定型業務の属人化は外に出す」という分け方です。すべてを自社で抱えようとせず、得意なところに集中するための整理だと考えてください。
Excel業務の属人化は、社外Excel担当として伴走する選択肢が現実的

スガサポの「まるごとExcel代行」は、社外Excel担当として伴走する月額制のサービスです。初月で、その会社の業務に合わせた処理のしくみを整えます。2か月目からは、月次集計、請求書の発行、シフト表づくり、Excelマクロの運用といった毎月の作業を、こちらが継続して引き受けます。担当者が辞めても、休んでも、業務が止まらない仕組みを、社外の側に持っておくという考え方です。
費用は月額5万円から15万円(税別)が目安です。最低契約期間は6か月で、それ以降は翌月末までのご連絡で、いつでも解約できます。社会福祉法人 白銀会様でも、職員30名規模の事業所で、シフト表づくりや関連する帳票の作業が特定の担当者に偏っていた状態を、社外運用に切り替えることで整理しました。詳しくは社会福祉法人のシフト作成代行で属人化を整理した事例をご覧ください。
まるごとExcel代行は、ツール本体を納品して終わりにするサービスではありません。毎月の運用までこちらで引き受けるため、「マクロを作った人がいなくなる」という属人化そのものが起こりにくくなります。ツール本体を自社に残して使い続けたい場合は、買い切りの自動化ツール開発という別のサービスをご案内しています。
次の一歩 — 30分の無料相談で、自社業務の属人化を整理する
属人化は、一度に全部を解決しようとすると動けなくなります。まずは、どのExcelを誰が開いていて、何を納品物として使っているのかを見せてください。そのうえで、社内で標準化すべきもの、マニュアルで足りるもの、社外に任せたほうが安定するものを、いっしょに切り分けていきます。
30分の無料相談では、自社業務のヒアリングと、属人化している箇所の整理、代行できる範囲のご提案を行います。しつこい営業はいたしませんので、相談だけでも構いません。あわせて、業務の属人化はなぜ起こるのか、Excelマクロが動かない原因と解決方法、事務をやりたくない経営者への記事も、属人化を考えるうえで参考になります。スガサポの会社情報はトップページをご覧ください。
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